巣から寝室へ-高品質アイダーダウンを仕立てる

アイダーダックと自然のサイクル

北極圏が間近に迫る北大西洋では、晩冬になると、綺麗な白黒模様の雄鴨と落ち着いた茶色の雌鴨の大きな群れが、凍てつく波しぶきの合間に飛び交う姿が見られます。この一見過酷な環境が、アイダーダックの棲息地であり、保護区域・繁殖地となっています。アイダーダックは非常に豊富な羽毛に包まれているおかげで、水温が氷点下を下回ることも多い紺青色の海に潜ってカペリン(カラフトシシャモ)を捕えることができるのです。

アイダーダウン農家の人々は、春になるとアイスランドの海岸線沿いに散在する荒涼として岩の多い小島を訪れ、アイダーダックの営巣地を巡回し、海から戻ってくるアイダーダックを迎える準備をします。アイダーダックには、毎年同じ場所に巣を作る習性があるのです。

アイダーダックの営巣地

数週間程すると、雌鳥は4つから5つの大きなミントグリーン色の卵を産み落とします。巣に敷き詰めてあるのは、雌鳥が自分の腹部から抜き取った、暗灰色で驚くほどやわらかい羽毛です。さらに防寒のため、胸元から抜き取った羽毛で卵を覆うと抱卵を始めます。この暖かく心地よい中で雛鳥たちは生まれてくるのです。アイダーダックは人間の居住地に近いところに営巣します。ただし、アイダーダウンの採取が許されるのは、鳥たちが巣立ってからです。親鳥たちは何にも邪魔されることなく産卵期を過ごすことができます。また、農家の人々がエサを与え、天敵を追い払って守ってくれます。野生のアイダーダックと人間とのこうした関係は何世代にも渡って連綿と続けられてきており、美しく希少な鳥と価値ある資源を未来へとつないでいく役割を果たしています。

希少性と独自性

毎年、世界中で約3,500キロのアイダーダウンが生産されていますが、そのうちの3,000キロ以上がアイスランド産です。アイダーダウン羽毛布団1枚には約1.2キロのアイダーダウンが使われます。しかも純度99.8%にまで不純物を取り除いたアイダーダウンのみが採用されています。最高品質のみを目指しているため、他の素材との混合は一切していません。こうしたことから、世界のアイダーダウン羽毛布団生産量は、年間わずか3,000枚程度です。アイダーダウンの保温性や世界的生産量の限界により、スカル羽毛布団は非常に希少かつ高級な一品となっています。